フィルタリングとは? 
フィルタリングは青少年にとって有害と考えられるアダルト情報や暴力的・グロテスクな画像、ネット詐欺などのコンテンツが設置されているサイトへのアクセスを制限するものです。「
青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」により青少年の携帯電話には設定を原則義務付けられています。この法令では子どもたちが安全に安心してインターネットを利用できるようにすることを目的として以下を挙げており、フィルタリングの普及を奨励しています。
1、子どもにインターネットを適切に活用する能力を習得させる。
2、フィルタリングの普及促進などにより青少年の有害情報の閲覧をする機会を最小化する。
3、民間の関係者の自主的・主体的な取り組みを政府が支援することを基本としてインターネット関係事業者に義務などを課すとともに、保護者やインターネット利用者全員で子どもたちを有害情報から守る取り組みを求める。
携帯電話へのフィルタリングは販売店舗にて購入の際に原則として設定されます。。
制限するサイトの範囲は事業主や提供されるサービスによって異なりますが、サイトのカテゴリ別にアクセスする・しないを設定したり、「このサイトはアクセス許可、このサイトは不可」という風に細かく設定していくことも可能です。
ただし、フィルタリングで100%有害サイトがブロックできるということではありません。
有害サイトを判別する上での「明瞭な表記をしているか」、「違法な内容を含んだコンテンツではないか」といった基準により審査を通過したサイトであっても、サイト内の掲示板やフォーラムにおいて悪意のある書き込みがなされていることもあります。これらに関しては利用者のモラルや判断に任せられるところとなるので、利用者自身が
その書き込みは正しい内容であるか?トラブルになった場合
何が問題なのか?を冷静に判断して、問題を回避する必要があります。
しかし、青少年が有害サイトに触れる可能性を大幅に低下させられるという面で、フィルタリングは大変有効な手段と言えるでしょう。
現在のフィルタリング
インターネット上の違法・有害サイトについて、保護者の多くは「子どもに見せたくない」「不快に感じる」としています。違法サイトの中には、詐欺に関わるもの、児童を巻き込んだ性犯罪につながるものなどが多く見られます。
しかし、実際には半数の家庭でフィルタリングサービスの設定や家庭内でのルール作りなど、積極的な対策はとられていません。

警察庁が平成23年8月26日に公開した「
児童が使用する携帯電話に係る利用環境実態調査結果について」によると、携帯電話にフィルタリングを設定していると回答したのは小学生で55.1%。中学生では57.6%。高校生では49.9%となっています。
(ただし、都道府県別の調査結果からは、和歌山県内の高校生の利用率は全国で最低の30.9%という結果になった)
一方フィルタリングを利用していないと答えたのは、全体で30.1%(小学生18.3%、中学生26.1%、高校生36.7%)であり、その理由として「子どもを信頼している」という回答が約半数にのぼりました。
その他の理由としては「特に必要を感じない」「子どもからつけないでと頼まれた」「フィルタリングサービス自体を知らなかった」「子どもにとって不便だと感じた」などが挙げられてます。
また「子どもに頼まれたから」などの理由から、フィルタリングを途中で解除したという回答が全体の4.5%となっています。
しかし
フィルタリングをかけていないということは、子どもにとっては安全なサイトから危険なサイトまで自由に行き来できるようになるということです。青少年の場合、保護者には内緒でアクセスをしており、トラブルに巻き込まれても言い出せずに深みにはまっていくというパターンが多く見られています。
確かに約束ができるというとき以外は、設定をきちんとしておくことが望ましいと言えるでしょう。

購入の際に販売業者からの説明があったかどうかについては、全体の68.6%が「説明があった」となっていますが、10.5%は購入の際「説明がなかった」と回答しています。現在、青少年が携帯電話を購入する際には、平成21年4月1日に施行された
青少年インターネット環境整備法によって、事業主が青少年の携帯電話にフィルタリングをつけることが原則義務化されました。
そのため販売業者からの説明が求められるのですが、残念ながら徹底して行われていない部分もあることが事実です。子どもに持たせるための携帯電話を購入する際には、利用者の側からもフィルタリングサービスを利用する旨を申し出ましょう。
フィルタリングの効果

フィルタリングの普及によって、出会い系や違法サイトによる被害児童数が大幅に減少したことが分かっています。
フィルタリングにはホワイトリスト方式とブラックリスト方式があり、それぞれ制限の方式が異なりますが、危険性の高いサイトには最初からアクセス制限をかけることで、青少年がネットに夢中になるうちについつい出会い系サイトを利用してしまったり、ネット詐欺の被害にあってしまうという可能性を下げることができます。
フィルタリングで解決できない問題
現在フィルタリングのアクセス制限の対象となるサイトは、利用者側が細かく設定したもの以外は監査機関の審査によって定められています。しかし、違法であると認定されたサイトには制限をかけられる反面、審査を通過したサイトには自由にアクセスすることが可能となり、そのサイト内での悪意ある人間の接触は防ぎきれないという弱点があります。
そのためフィルタリングによって出会い系サイトによる犯罪は減少していますが、審査により承認されているSNS(コミュニティサイトや携帯ゲームサイト)上で他のサイト利用者との間で発生するトラブルは増加しています。SNSを利用している場合は利用者間での交流の際に個人のメールアドレスや電話番号を教えない、他人を中傷しないということに注意を払いましょう。
また、保護者の方は時々子どもと話し合いをしながら、ケータイで
どんなサイトを見ているのか?困っていることはないか?を確認してあげましょう。
子どもたちにとってのフィルタリング

「児童が使用する携帯電話に係る利用環境実態調査結果について」によると、青少年のフィルタリングへの認知度は全体で
「知っていた」が54・5%、「なんとなく知っていた」が28.3%となっており、中高生のフィルタリングの認知度は徐々に広がりつつある結果になりました。
高校生くらいになると「犯罪から身を守るために必要」という声がある一方、「フィルタリングは不要」という意見も出ています。フィルタリングの設定によっては、有害ではないのに見ることができないサイトがあり不便であることや、「高校生になると自分で善悪の判断がつけられるようになるのだから解除したほうがいい」ということが不要だという意見の理由として挙げられています。
もちろん、有害サイトから自身を守るためにはフィルタリングを過信せず、自分の判断によって危険を回避する必要もあるため、自身できちんと判断ができるということであればフィルタリングをつけなくてはいけないということもありません。ただし、自身で注意しているつもりでもトラブルに巻き込まれてしまう可能性は0ではありません。そのため、青少年の携帯電話にはフィルタリングを保険としてつけておくことをお勧めしています。
保護者にとってのフィルタリング
保護者の方の大半はフィルタリングをつけることで、有害サイトへのアクセスを禁じることができると理解されていると思います。しかし、フィルタリングの制限に関する詳しい内容や、現在の携帯電話の利用状況を正しく理解できているかどうかとなると不十分であるという方が多くみられます。
フィルタリングの制限に関してはとりあえずかけておけば大丈夫だろうと過信してしまいがちですが、制限の基礎となるものは審査によって定められたサイトリストによるもので、審査を通過したサイト内で新たな手口を用いて青少年を狙うものもありますし、違法サイトであってもフィルターをくぐりぬけてしまい青少年が詐欺の被害にあってしまうこともあります。
子どもの携帯電話におけるネットの利用状況を理解できていないことで、子どもに不便を強いてしまい「解除をしてほしい」と頼まれることも。販売業者によってもフィルタリングの機能や制限の範囲はそれぞれ異なるため、よく説明を聞いて子どもの利用状況に適したサービスを利用するようにしましょう。そしてフィルタリングをかけたら、年齢に応じて段階的に利用できるサイトを増やしていくのも効果的です。
またフィルタリングをかけていても、自己判断が必要な場面が出てきます。ネットを利用しすぎない、個人情報の漏洩はしない、ネットを悪用しない、ネットで知り合った人と直接会うことはしないといったことを親子の間で約束しておき、時々はどのように利用しているのか気にかけてあげることが必要です。
フィルタリングを推進することの意義
フィルタリングをすることは、自分で正しい情報の選別を行うことのできない児童にとって、ネットに夢中になるうちに有害サイトに知らず知らずのうちに接続する危険性を抑えてくれる、画期的なサービスと言えるでしょう。
アダルトコンテンツや出会い系サイトでは「18歳未満の閲覧お断り」を記載していますが、実際にはだれにでも閲覧できるようになっています。判断力の十分でない子どもたちにとっては好奇心をかきたてられる内容であり、ついつい中を見たくなってしまうものですがもしそれが詐欺サイトであった場合、トラブルの原因となってしまうことが考えられます。
また、詐欺の被害にあった青少年の多くは、詐欺にあったことを親に言い出せず内緒で大金を払ってしまったと言います。
それらのトラブルを未然に防ぐための有効な手段の一つとして、現在全国的にフィルタリングの推進が行われています。
参考動画紹介 |
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フィルタリングソフトメーカーの アルプス システム インテグレーション株式会社のサイトで、フィルタリング啓発ビデオが公開中です。 |
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EMAのサイトでは、子どもたちがケータイを利用する際の注意点として、「フィルタリングを利用すること」と「親子で相談すること」の大切さについて紹介した広報ビデオが公開されています。 |
※ 本ページに記載の表画像は警察庁作成資料「
児童が使用する携帯電話に係る利用環境実態調査結果について」(
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen1/shonen20110825.pdf)、または平成23年上半期の出会い系サイト等に起因する事犯の検挙件数について(
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h23/pdf02-1.pdf)より
※ 携帯電話向けアクセス制限の最新の許可サイトリストは、EMAモバイルコンテンツ審査・運用監視機関のサイトにて確認することができます。
(
http://www.ema.or.jp/evaluation/index.html)
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参考資料 : コミュニティサイトに起因する児童被害の事犯に係る調査結果について(平成23年上半期)
(
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h23/H23deai-bunseki.pdf)